2012年8月29日水曜日

MVNO最大の弱点「セルスタンバイ問題」ってそもそも何?という話

昨日は「そもそもMVNOって何?」という記事を書いたが、今日はその続きともいうべき内容。
MVNOのSIMを使う時に、多くの人が直面する「セルスタンバイ問題」について。

MVNOにつきもののセルスタンバイ問題


昨日も紹介した、読売新聞の記事。

月額490円でスマホを使えるSIMカード : 超モバイル活用 : コラム : ネット&デジタル : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

この記事だけ読むと、「通信速度が多少遅くてもスマホのアプリはだいたい使えて、月額490円なんて良いことずくめ!」 と思う人もいるだろう。
実際そのとおりだが、DTIをはじめMVNOのSIMを使おうと思ったら「セルスタンバイ問題」 が起きるかもしれないいうことは、知っておいた方がいい。

以前、L-07Cのセルスタンバイ問題について以下のように書いた。

イオンSIMで運用した場合、L-04Cはアンテナピクトが立つが、L-07Cはそれがなく
圏外時間が異常に長くなり、バッテリー消耗も激しいらしい。

via: もちあるいてなんぼ。: L-07C購入、各設定など

このように「アンテナピクトが表示されない」「圏外時間が異常に長い」「バッテリー消耗が激しい」などが、セルスタンバイ問題の主な現象だ。
これは機種に依存している問題で、この現象が出る機種もあれば、出ない機種もある。
また、MVNOでも音声通話付きプランならこの問題は起こらない。
さらに、本家ドコモのSIMならば、どのプランでもこの問題は起こらない。

IIJのまとめ記事が秀逸!


この頭の痛い問題について、IIJの中の人が決定的なまとめ記事を書いてくれた。


てくろぐ » アンテナピクト問題・セルスタンバイ問題とは何か

セルスタンバイ問題によって起きる現象や、問題が起きる環境について、そしてその原因が、非常に詳しくかつ素人にも分かりやすく解説してある。

この記事を読んで驚いたことがひとつ。
私は、先ほど書いたとおり「アンテナピクトが表示されない」ことと「圏外時間が異常に長い」ことと「バッテリー消耗が激しい」ことは、全部繋がっているのだと思っていた。
アンテナピクトが表示されないから、圏外と判定されて常に電波を探しにいってしまい、その結果バッテリーを消耗してしまうのだと。

しかし、この記事によると、SO-03D (Xperia acro HD)では、アンテナピクトは表示されるがバッテリー消耗は速いそうだ。そういう機種もあることを初めて知った。

スマホ初心者に「MEDIAS for BIGLOBE」をオススメする理由』の記事の中で、「IIJmioの動作確認済み端末一覧でアンテナピクト表示が○になっていれば、セルスタンバイ問題は起こらない」という趣旨のことを書いたが、これは撤回しなければいけない。


セルスタンバイ問題の原因


上の記事の中で、IIJの中の人は「本当にそれが原因なのか、最終的なところまでは突き止められなかった」と書いているが、ここに書かれている状況証拠から言ってほぼ間違いないのだろう。

私もこの記事を読んで初めて知ったのだが、3Gでは通話とデータ通信を別々に制御している。
MVNOのSIMは、スマホ電話SIM等一部を除いてほとんどデータ通信専用なので、データ通信の制御の方だけ許可してもらえればよいのだが、(たとえ通話しなくても)通話の方も許可してもらわないと、結果として端末側は「異常」と判断する。これにより、アンテナピクトが表示されないとか圏外時間が長くなるとか、そういう諸問題が出てくるのだ、と。

(上の文章はかなり端折っている。詳しくは元の記事をお読み頂きたい。)

それでは、私がいま手にしているL-07Cは、どうやってこの問題をクリアしたのか。
もちろん、直接的にはframework.odexを入れ替えたからなのだが、その入れ替えたframework.odexではどんな修正をしたのか、調べてみた。

ブローヴちゃん: Android + b-mobile データ専用 SIM で電界強度を表示する

こちらを改めて読み返してみて、驚いた。 IIJの中の人が「この辺をいじくったら問題を回避できるかも」と書いた箇所と、同じ箇所が修正されていたのだ。
具体的には、通話の方が許可されなくても「許可」という扱いにする修正が施されていた。

もうひとつ、私が以前使っていたL-04Cは、セルスタンバイ問題は起こらなかった。
こちらは、どうして起こらなかったのか。それについてはIIJの記事のほうにこう書かれている。

これはもう、端末を開発したメーカーがAndroidのソースに手を加えているとしか考えられません。
via: てくろぐ » アンテナピクト問題・セルスタンバイ問題とは何か
その修正はメーカー間で共有されておらず、ばらばらに行われていると考えると、端末毎に問題の出方が全く異なるというのも納得できます。
via: てくろぐ » アンテナピクト問題・セルスタンバイ問題とは何か

・・・納得。たぶんL-04CとL-07Cでは、異なる修正がされたのだろう。

メーカーとすれば、ドコモに納品する端末なのだから、まずドコモのスマートフォンとしての機能がきちんと使えることが第一で、MVNOのSIMを刺したときの動作までは面倒見切れないだろう。 それは当然だ。
また、Androidソースの修正についても、各社の性能の差別化に関わるところもあるだろうから、そんなに簡単に共有できないのかもしれない。

というわけで、セルスタンバイ問題については、今後も「機種によって、またファームウェアのバージョンによって、起こるものと起こらないものがある」という結論だ。
結局のところ、MVNOのSIMでこの問題を回避しようと思ったら、事前に使いたい機種についてよく調べておくより他に方法はない。

【追記】
いくつかのMVNOが「SMS対応SIM」の提供を始めている。
SMSが使えると言うことは、通話の制御が許可されているということなので、このSIMを使えばセルスタンバイ問題が解消されるはず。
カテゴリ別ドコモMVNO比較まとめ』に、SMSオプションを提供しているMVNOをまとめてあるので、ご確認いただきたい。

また、2013年10月に行われた「IIJmio meeting #1」にて、セルスタンバイ問題の原因をさらに追及した結果が発表された。以下のページにスライドが掲載されている。

てくろぐ: Android・iOS・MVNOネットワーク (IIJmio meeting #1資料公開)

「最近のAndroidとMVNO SIMの関係」の7枚目から20枚目ぐらいがそれに当たる。これによると「ハードウェアに近い部分の動作が原因」とされており、パッチではアンテナ表示は改善されるがバッテリー消費は改善されないのでは?としている。
今のところ、SMS対応SIMを使うのが、セルスタンバイによるバッテリー消費問題を解決するもっとも確実な手段、と言える。

【お知らせ】続きの記事を書いたので、参考まで。
もちあるいてなんぼ。: 「セルスタンバイ問題」発生の見分け方と、SMS対応SIMを選ぶポイント